ヘキサードでの営業マンとしての4年間は、とても充実していた。主な販売商品は、指定伝票発行ソフト『伝助』という商品。これは、従来手書きで記載していたような複写式の納品伝票などを、プリンター印刷できるというもの。大手の製造業から、町の八百屋さんまで、多くの企業でご利用いただいているソフトである。職務内容としては、ユーザー企業への直販、代理店として販売してくれる企業の開拓のみならず、導入企業向けのコンサルティング、PC/プリンターの設定、実際に使う現場の方々向けの導入研修、そして電話でのユーザーサポートまで、いわば開発以外のことは何でもおこなった。
また、会社では2000年の後半ごろから、販売しているパッケージソフトの体験版を無料でダウンロードできるサービスが開始された。そのダウンロードの申し込みの際には、社名や担当者名、電話、メールアドレスなどの個人情報を登録していただく形式であったため、年間で1000件以上の見込み客リストを収集できる。そのリストを活用して、いかにソフトの販売を促進できないかと考え、Eメールを用いたマーケティング活動を行おうと考えついた。もっと探求するべく、書店でEメールマーケティングの書籍を探していたときに、Eメールマーケティングで売上を100倍伸ばす方法という本を見つける。これが後に入社する、株式会社カレンを知ったきかっけである。
当時僕は、ヘキサードで販売している『伝助』というソフトで、導入企業の業務効率化へ大きく貢献しているという自負を持っていた。また、ソフトの簡単なカスタマイズであれば僕自身で行なうこともできるようになり、スキルも蓄えられてきていた。しかし、もし『伝助』が世の中で使われなくなる時代が来てしまったら、自分には何が残るのであろうか?そんな気持ちを持ち始め、僕の中では、どこの会社でも活かせるスキルを身に付けなければならない、という危機感が湧き上がってきた。
そう考えたとき、Eメールマーケティングを探求したいという気持ちが芽生えてくる。マーケティングのスキルであれば、どこの会社でも通用すると思ったのだ。そして、この書籍の著者が経営する、株式会社カレンの就職面接を受け、社長面接を受けたその場で内定をいただく。社長が著した書籍がきっかけで転職したメンバーは、おそらく僕以外にはいないと思う。
もちろん、Eメールマーケティングを事業とする会社は、カレンのみではない。後にセプテーニに買収されたオプトメールの採用試験も受けたが、こちらはあっけなく落とされた。しかし、一番入りたかった会社がカレンであった上、後から聞いた話では、月間売り上げが○○○万円程度しかないほど弱体化していたとのことで、結果的に落とされて良かった。
また、転職が決まった頃と同じタイミングで、グロービスマネージメントスクールでの講座を受講する。マーケティング・経営戦略基礎、アカウンティング・ファイナンス基礎、それにクリティカルシンキングの3講座を9ヶ月かけて学習した。ビジネススクールでは、ケーススタディでの講義が、事前の念入りな予習を前提に進められるため、隔週での講座とはいえ、仕事をしながらは、なかなか大変だった。しかし、この頃に学習したフレームワークが、後の仕事に大いに活かされ、高い授業料をピーピー言いながら自費で払ったが、そのリターンは得られたとたと考えている。また、何よりの大きな収穫は、同じ志を持った方々との横のつながりを持つことができたこと。受講してから5年ほど経過するが、今でもその交流は続いているのが嬉しい限りである。